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賢狼パニ(ぱにたん)の昔話 第11話 「電話」

専業トレーダーの孤独な生活

今回の主要登場人物紹介

3号支店長Y(`ハ´ )
2号支店長賢狼パニ(・∀・)
2号支店副店長Z(´・ω・`)

時間は賢狼パニ(・∀・)が2号支店長になってから一年ちょっとが経過したころです。本社も支社も徐々に業績が悪化しています。売り上げは落ちても人員整理をすれば表向きは黒字になるのですが、あまり好ましいとは言えません。

人員整理をしたところで、社屋や社用車などを維持する固定経費の売り上げに占める割合は上昇しますので、あるレベルまで売り上げが落ちると、経常利益率が極端に低下します。

賢狼の勤める2号支店も例に洩れず、売上こそ維持していますが、もうそろそろ現状維持が難しくなってきました。どんなに社員が頑張っても需要のないところにビジネスチャンスはないのです。

それこそ革新的な商品や技術でも開発すれば話は別ですが、賢狼の会社はそういった最先端技術を開発しているような会社ではありませんから、いくら社員に対して笛を吹いても踊れる舞は限られているのです。低設定のスロットや釘の締まっているパチンコを頑張って打ったところで儲からないのと同じです。

真夏の月末

そして暑い夏のある日のことです。ちょうど月末で会社の中は普段なら多少バタバタしているのですが、2号支店に関しては業務計画通りの売り上げをすでに達成していたので、賢狼パニ(・∀・)も副店長Z(´・ω・`)も缶コーヒーを飲みながら「いやあ、目標を達成して月末を迎えるのは気持ちいいね~。

毎月25日頃から胃が痛くなるけど、今月はみんな頑張ったから意外とすんなり売り上げを達成したね~」と副店長Z(´・ω・`)が上機嫌で話しかけてきます。

賢狼パニ(・∀・)も「そうですねえ~、来月の売り上げ予定をちょっとだけ今月分に付け替えての達成だけど、よく頑張ったほうじゃね?」とインチキで達成した事など全く気にする様子もありません。

ふと、副店長Z(´・ω・`)が「そういえば、ここ数日は本社から全く連絡がないですねえ?普段なら売上金の送金催促が激しいのに、今月はこちらから金額を確認する電話をしたくらいですから」と、なにやら奇妙なことを言い出しました。

賢狼パニ(・∀・)は「ふ~ん、資金繰りに余裕があるから支店の収益なんか当てにしてないんじゃないのかな~」と返事をしながら、「それよりも今度一緒に寿司でも食べにいきましょうよ~」と呑気に会話をしていると、会社の外線が鳴りました。

社長からの電話

副店長Z(´・ω・`)「はい、◎◎物産ですが・・・ああ、社長。お疲れ様です。えっ?賢狼ですか?となりにいますけど・・・はっ、はい、すぐに代わります。」

と受話器を手渡しながら「社長から」と小声で合図をしました。わっちは時計をチラッと見て18時15分というのを確認すると、副店長に「あれ?やけに変な時間に電話を掛けてきたね」と小声で話しかけながら受話器を副店長から受け取ります。

賢狼パニ(・∀・)「あ、もしもし、どうもお疲れ様で~す。えっ、今ですか?今は副店長と一緒に来月の事業計画書を作成中ですが・・・  え~~~~! 今から3号支店に行くんですか~? ・・・・はい、すいません、すぐ行きます。」

副店長Z(´・ω・`)「どうしたの?」

賢狼パニ(・∀・)「いやあ、まいったよ。分けわかんね~。社長が今すぐに3号支店へ行けって言うから、今からですか?と聞いたら、俺を誰だと思ってるんだ、つべこべ言わずに今すぐ車で3号支店に行け~~って電話切っちゃったよ。」

副店長Z(´・ω・`)「なにそれ?今からって、3号支店まで往復で100キロ以上あるし、早くても帰りは深夜だよ。じゃあこの支店の今日の業務はどうするの? まさか、俺?」

賢狼パニ(・∀・)「うむ。任せた。じゃあ俺はちょっと3号支店に行ってくるから、分かんないことがあったら2時間後に電話してくださいね。それと、金庫と会社の戸締りは忘れないようにして下さいよ。それじゃ、また明日ね~」

と言い残して2号支店から会社近くの駐車場に向かって歩き出した賢狼でした。外は蝉の鳴き声が聞こえる真夏の新宿です。(ところで俺は何しに3号支店にいくのかな?)と心の中で思いながらも、「どうせ、3号支店への道中で社長から携帯に連絡が入るだろう。」と思い直して、その時は急いで3号支店に向かう事だけを考えていた賢狼でした。そして、賢狼はこの日を境に、二度と2号支店に戻ってくることはなかったのです。

~~~ 回想モード ~~~

あれから15年経つけど、忘れられない思い出です。15年以上も前の特定の日の、特定の日時の出来事を詳細に覚えているなんて、かなり強烈な出来事でした。電話一本。30秒程度の社長との会話で向かった先の3号支店。ちょっとのつもりが結局は片道キップ。大好きなエスパス日拓歌舞伎町タワー店と思い掛けない別れとなったのでした。

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