賢狼パニ（ぱにたん）の昔話　第３話　「倒産前夜」

倒産まであと三日と告げられてから、社員3人は必要最低限の通常業務をこなす以外は、ぼんやりと過ごしています。賢狼以外の二人に関しては月末で退職となるので意外と楽しそうですが、賢狼はそうもいきません。とりあえず実家の両親にだけは電話で連絡をしました。

賢狼パニ(･∀･)　「あ、もしもし、三日後に会社が倒産することになったけど、心配しないでね。取引先に移籍して引き続き仕事が出来る可能性があるから、また連絡するよ。」

裏技の後始末が大変です

実家へ報告が済んだので一安心です。そんな感じで漠然と過ごしていたのですが、緊急業務を「あと2日社長」から授かりました。業務内容は、「社内の帳票類、帳簿、資料等は全て破棄しろ。」とのことです。産業廃棄物トラックの手配をして、社内中の物をすべてブン投げます。

賢狼は心の中で「ラッキー、架空契約の証拠もこっそりと捨てちゃおう(･∀･)　」とニコニコしていると、主任Ｉさんが見透かしたように「やばい資料や契約書は今日中に捨てろよ（笑）」と忠告してくれました。えへへ、みんな同じような悪事をしていたみたいです(･∀･)。

そりゃあ、きっちりとお給料が貰えるのならそんなことはしませんが、二カ月遅れ半額払いなどされていたので、生活の為にはいろいろと怪しい事をみんなでやっていたのです。まあ、ゲームで言う所の「裏技」って感じですね。あはは。

新しい雇用予定先との面接

さて、あと二日で倒産となったところで、新しい雇用先の社長さんと喫茶店で面接をすることになりました。この会社が賢狼のいた会社の備品などすべて現金化してくれるそうで、その中から賢狼の未払い給与も支払われるそうです。あと、顧客や取引先なども引き継ぐそうなので、新しい雇用先にとっては事業拡大になりますから、お祭り騒ぎで喜んでいたそうです。

さてさて、新しい社長Ａさんとその部下の主任Ｙさんと三人で喫茶店に入りました。賢狼がオレンジジュースを飲んでいると、主任Ｙさんがおもむろに話を切り出して来ました。「月給はいくらぐらいだったの？」。賢狼は心の中で　（固定給18万円だったけど、どうしようかな？どうせ一カ月でクビになるって噂だからこの際、ちょっと多めに言ってやれ）　とドキドキしながら

と、しどろもどろに答えると、向こうの社長さんはユーモアセンスのある方みたいで、賢狼の心中を察したのか、「あはは、いいよ、いいよ、明後日から月給20万円ということで、よろしく～」と快諾してくれました。

更に賢狼の未払い賃金は新しい社長さんが責任をもって、「あと二日社長」から取り立ててくれるそうです。これで賢狼の不安事はほぼ無くなったのですが、住居の問題が残っています。

実は、「あと二日社長」は5階建て自社ビル以外に、もうひとつビルを持っていて、その2階から3階と屋上が寮になっていました。賢狼は屋上に建ててある「アニメ筋肉マンの筋肉ハウス」みたいなプレハブに当時は住んでいたのですが、主任さんと新社長さんがそれを見て大笑いしていました。これはとても恥ずかしかったです。結局、この屋上の筋肉ハウスから引越し出来たのは一ヵ月後になりましたけどね(･∀･)。

賢狼のいた会社は実質は黒字倒産です

時代はバブル経済が崩壊しつつある23年前の出来事ですから、猫も杓子も不動産投資をしていた時代です。うちの社長も不動産屋にそそのかされて、無理して自社ビルを建てたのが大きな間違いの元でした。テナントがすべて埋まらずにビルの支払いが苦しくなり、事業資金から流用していたので社員へまともな給与が支払えずに会社が傾いてしまったのでした。

それでも本業はきっちりと収益が出ていたのですが、危機感を感じたまともな社員は逃げてしまい、業績は下り坂を転げ落ちるように悪化していました。でも、完全に黒字経営です。

数年後には倒産したかもしれませんが、すくなくとも、怪しい社員Ｋさんが、さくら銀行の当座預金の残高不足を社長に伝えていれば、このような事にはならなかった筈です。当時は携帯電話がまだ5％も普及していなかった時代です。電話の取り次ぎミスで倒産する事になったのは、青天の霹靂でした。（明日へ続く）

この記事の拍手コメント

2017.04.29 22:24 愛知在住

パニたん、教えてくれてありがとうございます。お察しの通りＩＥですよ。我がパソコンは、今、すごくヤバイ状態で騙し騙し使っているので、サイトが開くまで茶でも飲んで待ちますよ。デザインはトップの白い部分の絵の幅がサイトより短いので余白のグレーがな～んか無骨だよね。悩む男の絵をｷｬﾌﾟﾁｬして画像加工して貼り直すといいかもね？でも好みの問題ですけどね。

賢狼パニ(･∀･)　「やはりＩＥでしたか。自分も20年近く意固地になってＩＥを使っていましたが、自分のブログを見るときに待ち時間が我慢の限界に達して、クロムに変更しました。そしたら、恐ろしく快適になりましたよ。」

2017.04.29 22:42 名無しさん

早く次回の話が知りたいです。楽しみにしています。ビルの屋上の筋肉ハウスは面白いですね。
 
賢狼パニ(･∀･)　「住んでいた賢狼にとっては、悪夢でした。夏は鉄板が太陽光を吸収してサウナ状態。雨が降れば屋根からの雨音で眠れず、冬はご想像にお任せします。」

2017.04.29 23:00 おたけ

さくら銀行って懐かしい響きですね！

2017.04.30 14:41 nekokuti

40の主任さんもいま60歳か。20年前というとバブルの不良資産が多くの企業を苦しめていた時代ですね。